シレーヌの日記1
私はシレーヌ。
今は人間ではないの。
私は猫。
これから私の事を語っていくわ。
その前に私の幼馴染を紹介するわね。
あそこでフランスパンを葉巻のように咥えながら
優雅にティータイムをしている人。
彼の名はロミオ。15歳 - 。
私の大切な人。
私がなぜ猫になったのか話すわね。
〜
あれは私もロミオも10歳の時。
台風の日だった。
小学校に通っていた私とロミオ。
午後になるにつれて台風が強くなってきた。
学校の授業が終わった後、教室で待機するように言われていたの。
でも、私とロミオは家が近かったし、好奇心が旺盛だったのね。
一緒に下校してしまったの。
傘は折れて服はビショビショ。
でも、楽しかった。
すごくはしゃいでいたわ。
そんな時、急に突風が吹いたの。
その風で、川沿いを歩いていたロミオが川に落ちてしまった - 。
私はすごく慌てたの。
水嵩も上がり、流れも速かった。
ロミオはすごい勢いで流されてしまったの。
私は動揺して体を動かすことができなかったの。
ただ、その場で目を瞑って祈ったわ。
どうか神様、ロミオを助けてください、と。
そうしたら、頭の中に知らないおばあさんが出てきたの。
そのおばあさんはこう言ったわ。
ロミオを助けたければ、魔法の力を使うしかない、と。
私の家系には代々、魔法の力が伝承されているらしいわ。
そして、魔法の力を使う代償があることも言っていた。
私はロミオが助かるならなんでもよかった。
とにかくおばあさんに魔法の使い方を聞いたの。
私は魔法を使い、すぐにおばあさんは消えてしまった。
そして、私は猫の姿になってしまったの - 。
その後、私は歩き慣れない格好でロミオの家まで向かったわ。
ロミオの家の庭にある木で台風をやり過ごしていると
しばらくして、ロミオが助けられたという報告が聞こえてきたわ。
よかった。
ロミオは助かった。
川の途中に見慣れない大岩があって、そこに引っ掛かったみたい。
きっとこれが魔法の力 - 。
その後、頭の中におばあさんが現れたの。
おばあさんはこう言ったわ。
ロミオを助けるために使った魔法の代償は10年。
10年経てば元の姿に戻れる、と。
その後、ロミオの庭をうろうろしていたら、ロミオに拾われた私。
〜
それから、5年。
今は飼われている状態。
ロミオと話はできない。
でも、それでいいの - 。
ロミオが元気であれば、それで -。
つづく。