makoto_ogaの日記

書ける時は技術系、それ以外は日常系・空想系のブログを書いていきます

シレーヌの日記4

私はシレーヌ

孤独な木。

ロミオは仕事で外国へ行ってしまったわ。
今までよりもはるかに悲しい。
そんな時間を過ごすことになってしまった - 。

しばらくは悲しみから立ち直れなかった。
でも、ロミオの頑張っている姿を思い出したわ。
私は何もできないけれど、時が来るまで耐えるしかないの。

もうこれ以上、魔法の力を使うわけにもいかない - 。
次はどんな姿になってしまうのか。
考えただけでも恐ろしいわ。

また月日は流れていった。

どれくらい経ったのかしら。
私はもう木としての自分を受け入れつつあった。

朝は太陽が力をくれる
昼は鳥たちが憩う
夜は月が鎮めてくれる

そんな日々が当たり前になった頃
私の前に1匹の猫が現れたの。

そう、それは私が木になる前の姿だった - 。
私は猫になった時、ロミオの家の窓で自分の姿を確認したの。
そして、首輪も付けていた。
間違いなく、その猫は私だった。

どういうことかしら。
私は今まで自分が姿を変えて生きていると思っていた。
でも、この猫は私じゃない。
ロミオが家を出る時に何かを探していた気がするわ。
それは、この猫かもしれない。

もし、私は生き物に憑依するような形で生きているのなら - 。
猫からロミオの家の木に憑依した私。
人間から猫に憑依した私。
じゃあ、人間だった私の体はどこへ行ってしまったの。
私は人間に戻れるの - 。

そんな不安と疑問は動けない私がいくら考えても
わからないまま、時は過ぎていった。

そして、途方もない時間の果て
遂にその時がやってきたの。

つづく。

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