makoto_ogaの日記

書ける時は技術系、それ以外は日常系・空想系のブログを書いていきます

シレーヌの日記8

私はシレーヌ

ロミオの命がもうすぐ終わる - 。
そう知った私は何も考えずロミオの家の中で
寝込んでいた。

そのとき、聞こえてきたのはロミオの声。

シレーヌ!」

ロミオが帰ってきた - 。
ロミオに名前を呼ばれたのは、あの台風の日以来。
ロミオが帰ってきたの - 。

ロミオも私と同じく年齢を重ねていた。
でも何も変わっていなかった。
あの時のままの、やさしくてちょっと抜けている。
それがロミオ。

私たちは喜びを分かち合ったわ。
ロミオも旅の疲れがあったけれど、それを忘れて今までの事を
話し合った。
すごく長い時間、話したかった事を2人で話し合ったの。

でも、ロミオが私の記憶から事故の日の事を
消してくれたことを私が知っている事 - 。
それは言わなかったわ。
ロミオが守りたかったものを壊したくなかったの。

それから私達はロミオが働いている外国の地へ行く事にしたわ。
この場所にいては私の事を知る人達に迷惑が掛かってしまう - 。
後ろ髪を引かれる思いで私たちは
ロミオの家を後にした。

外国への移動中もずっと考えていたの。
ロミオはもうすぐ死んでしまう - 。
どうすればいいの。

私にできる事は - 。

私は決心した。
私ができることは1つしかない。
魔法の力を使ってロミオを救う事。
でも、もう次は2度とロミオに会えなくなるかもしれない。

私には移動の間の数日間がすごく怖かった。
ロミオと楽しく話をしていても常に頭を過る別れの気配 - 。

ついにロミオが働く外国の地へ着いたの。
そして私は願ったわ。
ロミオを救う事を - 。

目の前におばあさんが現れて
私は自分の祈りを伝えたわ。
そして - 、ロミオの命を20年延ばすことができた - 。

その魔法の代償は - 。
ロミオに与えた命と同じだけ私の命を差し出す事。
私とロミオはお互いあと約20年の命となったわ。

私は嬉しかった。
生きられる時間は減ったけれど、ロミオと一緒にいれる。
それは今までとは大きく違っていたの。

それから私たちは残された時間を共に生きていった。
そして、2人の間に子供を1人授かったの - 。

つづく。

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