makoto_ogaの日記

書ける時は技術系、それ以外は日常系・空想系のブログを書いていきます

シレーヌの日記6

私はシレーヌ

人間の姿に戻った私に
おばあさんは真実を教えてくれた - 。

あの日、あの台風の日。
川に落ちたロミオを私が魔法で助けた日。

川に落ちたのはロミオではなかった - 。
あの日、川に落ちたのは私。

そして、その時に私は死んだの。

死んだ私を生き返らせようと、ロミオは必死に祈ってくれた。
そこでロミオは魔法の力を使ったの。
魔法の力を伝承していたのは私ではなく、ロミオの家系だった。
ロミオは5つのことを魔法に託したの。

シレーヌの魂を他の生き物に宿すこと。
シレーヌの記憶から事故の記憶を無くすこと。
シレーヌの記憶の一部を書き換えること。
シレーヌが蘇生したときにロミオに知らせること。
シレーヌに魔法の力を継承すること。

私の肉体は完全に死んでしまっていた。
でも、魂が肉体を蘇生させることが魔法により可能になったの。
そのための時間が10年。
私が猫になっていた時間。

ロミオは事故で私が体験した恐怖の記憶を無くしてくれた。

無くなった記憶の部分を
ロミオが溺れたという記憶に書き換えてくれた。

私がロミオの処刑を魔法で止めたとき
私は初めて魔法を使った。
20年間木になっていたのは
私の魔法の代償。

でも、ロミオは私の魂が何に宿っているかは知らなかった。
ロミオが外国へ旅立ったのも、どこかに宿る私を見つけるため
かもしれなかった。

そう語った後、おばあさんは話しを続けたわ。

ロミオが魔法の力を使ってまで
私の記憶を書き換えてくれたのに
なぜ、私に真実を教えたのか - 。

ロミオが私に使った魔法の代償 - 。
その代償はロミオの人生の半分を捧げることだった。
そう、ロミオは約40年の命を魔法の代償に差し出したの。

もう時間が残されていなかった。
ロミオの死期は迫っていた - 。

つづく。

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