シレーヌの日記3
私はシレーヌ。
ロミオの家の木になった。
今はもう猫だったときのように
ロミオに近づくことさえ叶わない。
ただ遠くで見ているだけ - 。
あの悲劇からどれくらいたったのかしら。
ロミオは悲しい顔をして、涙を流す - 。
もう私にはこれ以上、どうすることもできないみたい。
ロミオお願い。もう泣かないで。
しばらくしてロミオは成人を迎えた。
無実の罪を着せられ殺害されたロミオの両親。
その代償として国からは大金が支払われた。
もちろん、そんなお金なんかでは取り返しのつかないものを
失ってしまったロミオ - 。
でも彼は、大人になって前へ進むことを選んだの。
いつしか貿易の仕事をするようになった。
ロミオには力を貸してくれる友人もできたわ。
稼いだお金は寄付していたり、ボランティアにも参加するようになっていった。
忙しくしているうちに、ロミオは悲しい顔をしなくなったわ。
よかった - 。
ロミオ、あなたは素晴らしい人だわ。
自分の力で立ち直り、前へ進んで行けるんだもの。
もう、大丈夫ね。
私は見ていることしかできないけれど
あなたがこれからも元気に生活できることを心から祈っているわ。
それからまた、月日は流れ - 。
仕事が軌道に乗ってきたロミオは
外国へ行くことになってしまったの - 。
つづく。